「全ての決定権は私にあり、私のいう事は絶対である」(無惨)

「鬼滅の刃」に登場してくる鬼は、もともと普通の人間でした。鬼たちは人間であったときは、屈辱的な暗い過去を持つものばかり。鬼たちの人生を打ちのめされた苦悩は筆舌に尽くしがたいものです。そんな憎悪に満ちた気持ちになっているとき、鬼舞辻無惨と出会い、鬼の血を分け与えられて、鬼になりました。鬼になると人間であるときの記憶がすっかり失ってしまいます。鬼滅の鬼たちは、太陽の光か日輪刀で首を斬撃するしか倒す方法がありません。こうして鬼殺隊に敗れた鬼たちは、ボロボロと「鬼滅の涙」を流しながら死んでゆきます。どんなに残酷な鬼であっても、人には言えない辛く悲しい物語があります。心がどこまでも純粋で、やさしい少年の主人公の炭治郎が悪鬼に暖かい言葉をかけ続ける姿に、視聴者はさらに深い感動を呼びます。(拙著 「鬼滅の涙」より抜粋)
鬼の始祖・鬼舞辻無惨が生まれたのは、平安時代。魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈する世で、物の怪や百鬼夜行などが横行していました。また、現在のような伝染病も流行し、治療法が確立していなかったので、早死にする者も多かったと言われています。そこで、活躍したのが真言密教の弘法大師空海や陰陽師の安倍晴明などの鬼神を自由自在に操り、呪術によって悪霊を退治してきた霊能者が皇室や貴族を補佐して守ってきました。これらの悪鬼は特別な能力をもつ人間にのみ、感知できる存在です。
令和は武家のような戦いに明け暮れる時代ではない点で、平安時代と似ているところがあります。そんな時代だからこそ、「鬼滅の刃」のような鬼と人間との戦いを描く物語が流行するのかもしれません。なかでも劇場版「鬼滅の刃 無限列車編」は、興行収入400億円を突破して、日本映画で歴代1位となりました。
拙著「鬼滅の涙」が、8月31日に発売となりました。本書では、既存の本と違った視点で、鬼滅の刃の歴史観と鬼の歴史を振り返りながら、「鬼滅の刃」の登場人物の心に残る15の名言をもとに独自考察をした本です。本作を読む事で、自分の信じた道をつらぬいてゆくキッカケとなったら幸いです。



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